もしかしたらこれって過保護?過保護の定義と注意点
親をはじめ、子供の保護者(以降「親」)は、子供が独り立ちするまで見守る責任があります。
それだけに、子育ての過程で悩むことも少なくないでしょう。
子供への接し方も大きな課題です。適度な距離を取ることが大事だとわかっていても、過保護になっているかもしれません。
この記事では、子育ての悩みである過保護について紹介していきます。過保護の意味や定義、どのような問題があるかなども含めて解説していきます。
1.過保護の意味は?
少子化にともない、一人の子供と密に接する時代になりました。
子供の将来を願って、いろいろと手を差し伸べることも少なくないでしょう。
その結果、知らないうちに過保護になってしまっているかもしれません。
そうならないためには、過保護の意味をきちんと把握することが大切です。
この段落では、過保護の意味や過保護による注意点について解説します。
1-1.過保護の定義
過保護とは、必要以上に子供を甘やかしたり、子供の要望を叶えてしまったりすることをいいます。
子育ての過程では、子供の年齢や発達の状態に応じて適切なサポートが必要です。
しかし、なんでもかんでも親がやってしまうのはよくありません。
このような対応が日常的に行われると、子供の自立心が育たちにくくなります。
子供が苦手なことを代わりにやってあげることは典型的な事例です。
子供が嫌がるのでやってあげたい気持ちになりますが、そこで親が代わりにやってしまうと、子供が自身の力で困難に立ち向かうことが難しくなってしまいます。
また、わがまま放題に育つと、子供が精神的に成長する機会も得られなくなります。
もちろん、子供に甘えさせることも必要です。
子供にとって、親は甘えることができる大切な存在だからです。
しかし、甘やかしすぎはかえって悪影響となってしまい、子供の自立を妨げてしまう可能性があることを知っておきましょう。
1-2.過干渉との違いは?
「過保護」に類似する言葉として「過干渉」があります。
どちらも「過」が付くため混同するかもしれません。
それらの違いがわからないと、子供との接し方に悩むこともあるでしょう。
過干渉には、子供に対して必要以上に干渉するほか、子供の気持ち抜きで何かをやらせたり、子供の行動を禁止したりするなどの傾向がみられます。
また、子供の交友関係に口出しし過ぎる人もいるでしょう。
このように、過干渉の状態になると、親が子供の言動すべてをコントロールしている状態といっても過言ではありません。
ちなみに、過保護と過干渉の違いを考えるとき、「子供が求めているかどうか」を基準にする説があります。
「過保護=子供が求めることをやり過ぎること」
「過干渉=子供が求めないことまでやり過ぎること」
と把握しておくとよいでしょう。
2.過保護になっている親の具体的な行動
小学生や中学生などの子供を持つ人のなかには「超氷河期世代」を経験した人も少なくないでしょう。
その背景もあり、自分の子供にはよい人生を歩んでほしいと願うのは当然かもしれません。
それと同時に、過保護による子供への影響を知っておくことも大切です。
この段落では、過保護になっている親の具体的な行動、3つのケースを紹介していきます。
2-1.子供の身の回りのことを全てやる
家庭は、家族が集う憩いの場であり、子供が社会生活に必要な知識やマナーを身に付ける大切な場所でもあります。
子供は、成長にともない外で過ごす時間が増えていき、それに伴い学ぶことも多くなります。
そのための英気を養うためにも、家庭の存在は大きいでしょう。
ときには、子供を甘やかしたくなるかもしれません。
しかし、子供の身の回りのことを全てやるのは避ける必要があります。
子供は、成長の過程において、様々な知識や経験を積み重ねていきます。
その過程において、小さい失敗をしながら成功の喜びを味わうこともできるのです。
もし、子供がやるべきことを親が先回りしてやってしまうと、子供は自ら学んで成長する機会を得られなくなります。
例えば、学校へ持っていくものの準備など、親が全てやることで失敗を防げるかもしれません。
しかし、子供の成長を願うなら望ましい行為とは言えないでしょう。
2-2.子供が欲しがるものを全て買い与える
お菓子やおもちゃは、子供の興味の強い対象になります。
テレビCMや友達などから情報を得て、欲しい気持ちが高まることもでてきます。
また、一緒に買い物に行くと子供の目に留まり、せがまれることも少なくないでしょう。
しかし、子供が欲しがるものを無制限に与えるのは過保護になります。
欲しいものはなんでも手に入るのだと、子供が誤った認識をしてしまうため注意が必要です。
もちろん、学習や生活に必要なものや適度な量なら問題はありません。
子供が欲しがるもの全てを買い与えてしまうのがよくないのです。
そのためには、親が徹底するだけでなく、祖父母など、周りの人に協力を求める必要があります。
子供が欲しがるものを買いたくなる気持ちはわかりますが、くれぐれも度を過ぎないように心がけましょう。
2-3.外出するときは常に一緒に行動する
学校や塾への行き帰りをはじめ、その他の外出時に、親がピッタリ付き添うのはよくありません。
子供は成長とともに行動範囲がどんどん広がっていきます。
また、移動手段として電車やバスなど公共交通機関を利用する場合も出てきます。
公共交通機関を利用するには、切符の買い方や改札の利用方法などを知らなければなりません。
それは実際に自分で経験してこそ学べるものです。
もし、ある程度の年齢になっても、一人で電車やバスに乗れないのは問題といえるでしょう。
もちろん、公共交通機関の利用が難しい場所に住んでいる人もいるため、親の送迎が必要な場合もあります。
また、公共交通機関の利用頻度も個々によって異なるでしょう。
物騒な事件が多い時代だけに、親が子供の安全を守るのは当然の行為になります。
そういった事情を把握したうえで、行き過ぎた保護をしないことが大切です。
3.過保護の子供への影響は?
子供の幸せな人生を願うあまり、ついつい過保護になってしまう親も少なくないでしょう。
自分が叶わなかった夢を子供に託したくなる気持ちもわかります。
しかし、親が過保護になることで子供にも影響がでてきます。
この段落では、子供が学校や社会に出たときに起こりうる事例3つを紹介しましょう。
3-1.自分で物事を考えずに指示待ちになる
子供の身の回りを含め、親が全てをやってしまうと、そのような生活が子供にとって当たり前になってしまいます。
親がお膳立てしてくれるので、子供は自分で判断する機会が得られなくなります。
その結果、誰かの指示がないと判断や行動ができなくなる恐れがでてきます。
つまり「指示待ち」になってしまうのです。
物事に興味を持って自主的に動く機会が少なくなってしまうため、知識はあっても感性が育ちにくいなどの弊害もでてきます。
このようなままで大人になると、仕事やプライベート面でマイナスに働くことも懸念されます。
3-2.責任を他人に押し付けがちになる
家の手伝いなど、家庭のなかで何かを任されることで、子供はやりがいを感じることが少なくありません。
また、任されたことは責任を持ってやり遂げようと努力します。
しかし、親に全てを行ってもらう環境にあると、自分の言動や行動に責任が持てないまま大人になってしまいます。
嫌なことがあっても親がやってくれるので、なんらかの壁にぶつかったとき自分で解決方法を見いだしにくくなるかもしれません。
また、親への依存や責任転嫁を続けることで、他人に責任を押し付けるスタイルが身に付いてしまいます。
このような状態で社会人になると、職場などでの人間関係に支障が出ることが避けられないでしょう。
3-3.うつ・引きこもりになる可能性が高まる
過保護な親に育てられると、自発的に考えて行動する機会が奪われることが少なくありません。
その結果、子供が不安でうつになる可能性や、社会に出られずに引きこもりになる可能性もでてきます。
また、摂食障害などの原因になるとも考えられています。
親は子供の生活全般をカバーできるものではありません。
小さいうちはともかく、成長にともない自分で解決が必要なことが増えてきます。
しかし、過保護な環境で大きくなった場合は、自分で判断する経験が少なく、自信が持てずに、壁にぶつかっても自分で解決できないこともあるでしょう。
その結果、ひきこもりになってしまう恐れもあります。
こうしたことからも、過保護に接するのは子供にとってもあまりよくないと言えます。
もちろん、うつや引きこもり、摂食障害などは他人事ではありません。
それらは誰にでも起こりうる可能性があるのです。
4.過保護になりやすい親の特徴
過保護になると子供の社会生活にも大きな支障をきたす恐れがでてきます。
そうならないためには、親自身が過保護でないかどうか注意することが大切です。
過保護になりやすい親には共通した特徴がみられます。
この段落では、過保護になりやすい親の特徴について説明します。
4-1.過保護な親の元で育った
親自身が育った環境で子育てが左右されてしまうことが少なくありません。
それは、自分の生育環境がお手本になるケースが多いからです。
子育てに正解はありませんが、過保護な環境で育った親は、自分の子供にも過保護な対応をしてしまいがちです。
親自身が受けたことを繰り返してしまう典型的なパターンです。
もし、親自身にそのような傾向が見られたら、子供への接し方を見直しましょう。
5.過保護な親にならないために
子供を過保護な環境で育てると、いろいろな弊害が起きることが懸念されます。
そうならないためには、親自身が過保護にならないように、子供との関係をしっかり意識する必要があります。
この段落では、過保護な親にならないために重要なことについて説明していきましょう。
5-1.子供の生き方を尊重する
子供のためを思って、つい口や手を出してしまう親は少なくありません。
特に、母親は妊娠中から子供と密接な関係にあるため、子供への思いは人一倍強いでしょう。
子供は一人の人間であり、子供の人生は子供のものであるべきで、親がコントロールする対象ではありません。
むしろ、子供は親が思い描く人生を歩まないものだと覚悟しましょう。
仕事や住居など、子供に期待することもあるかもしれません。
しかし、子供が幸せになるために必要なのか考えたうえで、子供の生き方を尊重できる親になりましょう。
5-2.子供の自立心を育むと考える
子供が実りある人生を歩むためには、自由な生き方を選べる環境づくりが必要です。
そのためには、親が見守れるうちに失敗や成功の経験を積むことが大切です。
もちろん、押し付けはよくありません。
子供自身が希望することに対しては、可能な限りチャレンジできる環境をつくりましょう。
ですが、危険をともなう行動や、他人に危害を加えそうな行動は制止しなければなりません。
また、いつもと様子が違わないかどうか、子供とは適度な距離を保ちながらも寄り添うことが大切です。
いじめ問題をはじめ、子供を取り巻く環境には大変厳しいものがあります。
子供にとって、親は身近な存在であり、頼れる存在でもあります。
もし、子供が困ったときは、いつでも相談してもらえるように、親子の信頼関係を築いておくことが重要です。
6.子供にとってのいい成長を考えよう
親には子供の成長を見守る責任があるため、過保護な行動すべてが悪いとは言えません。
ただし、子供が伸びようとする芽を摘むことが問題なのです。
親は、子供の成長機会を奪うのでなく、成長を見守りながら適切なサポートをしていく必要があります。
子供の将来をしっかり見据えたうえで、子供にとってのいい成長を考え、子どもの自主性は尊重してあげましょう。
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